中東の石油(11):セブン・シスターズ

中東の石油シリーズの最後は「セブン・シスターズ」という題にしたい。中東の石油利権を手に入れて、中東の石油だけでなく世界の石油を牛耳ってきた石油会社は「国際石油資本」とか「石油メジャーズ」と呼ばれることがある。このブログの中でも欧米の石油会社が競って中東の石油利権を手に入れてきたことを述べてきた。そのような中で、彼らの仲間に入ろうとして競ったが、勝てなかった男がいた。そして、彼は対抗した相手を「7人の魔女」と呼んだのであった。その男、とはイタリアのエンリコ・マッティである。ウィキペディアでは彼のことを以下のように記している。

エンリコ・マッテイ(Enrico Mattei、1906年4月29日 – 1962年10月27日)は、イタリアの実業家、政治家。長年にわたりイタリア国営石油会社ENIを率い、当時ヨーロッパの石油市場を独占していたメジャーに対抗した。マッテイはキリスト教民主主義の党員であり、1948年から1953年にかけては議員も務めた。1962年に飛行機事故により死亡したが、メジャーとの対立を続けたその経歴から謀殺の噂が今も絶えない。

末尾に書かれているように、彼の突然の死はメジャーズによって仕掛けられた暗殺であるというのが定説である。冒頭の画像は、1926年にイギリスで生まれたジャーナリスト、アンソニー・サンプソンが著した『セブン・シスターズ / 不死身の国際石油資本』の表紙である。彼はエンリコ・マッテイが「7人の魔女」と呼んだ7つの石油会社を「セブン・シスターズ」として石油の歴史と石油会社の熾烈な競争を書き著した。私の手元にあるこの本は石油界のおどろおどろした歴史の内情がつぶさにわかる名著である。セブン・シスターズとは次の7社である。(ウィキペディアより引用)

  • スタンダードオイルニュージャージー(後のエッソ石油、その後1999年にモービルと合併しエクソンモービル)
  • ロイヤル・ダッチ・シェル(オランダ60%、英国40% )
  • アングロペルシャ石油会社(後のBP)
  • スタンダードオイルニューヨーク(後のモービル、その後1999年にエクソンと合併してエクソンモービル)
  • スタンダードオイルカリフォルニア(後のシェブロン)
  • ガルフ石油(後のシェブロン、一部はBP)
  • テキサコ(後のシェブロン)

スタンダード石油が誕生した後、数多くの石油会社が設立された、合併や再編成、消滅を繰り返して現在に至っている。少し古いがその推移を図示したものが岩波新書の瀬木 耿太郎著『石油を支配する者』(1988)から拝借して紹介しておこう。

この新書は現在でもアマゾンを利用すれば手に入る。値段も手ごろであるので、是非とも読んでもらいたい一冊である。(終わり)

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