コーランについて(2):第96章・・・凝血

コーランはイスラムの創始者ムハンマドが神からうけた啓示を編纂したものである。ムハンマドが最初に啓示を受けた部分がこの章に綴られている。それゆえ、コーランの中でも重要な章である。

慈悲ふかく慈愛あまねきアッラーの御名(みな)において・・   (ここの部分は全部の章の初めについている。今後、この部分は省略する。)

  1. 誦め、おまえの主の御名において、(森羅万象)を創造し給うた(主の御名において)、
  2. (つまり)彼は人間を凝血から創造し給うた。
  3. 誦め、そしておまえの主は最も気前よき御方であり、
  4. 筆によって(書くことを)教え給うた御方であり、
  5. (つまり)人間に彼の知らなかったことを教え給うた(御方)である。
  6. ・・・・19節まで続く

訳文は前回も引用させていただいた作品社の『日亜対訳クルアーン』からである。森羅万象ありとあらゆるものを創造したのは神であり、人間に人間の知らなかったことを教えたのも神であるという。啓示の始めに相応しい章句であると思う。

冒頭の句=誦め の読み方は「よめ」である。神の啓示を伝えた大天使ジブリールが「よめ」と言うと、ムハンマドは「私は読むことができません」と言ったとか?この天使のジブリールはキリスト教ではガブリエルと呼ばれる天使のことである。そして、ムハンマドの「誦めません」という答えに対して、ジブリールはさらに「誦め」と言ったのが第3節である。

つまり、ムハンマドは読み書きができない人であったらしい。それゆえに神から与えられた啓示を記録することもできないので、記憶を頼りに啓示を伝えることは至難の業であったろうと思う。そして、コーランが編纂されたのは、彼の死後の正統カリフ三代目ウスマーンの頃である。生前にムハンマドが伝えた啓示を取りまとめるという作業はさぞかし大変だったことだろう。