モスクを知る❷:モスクの形

イスファハンで写したモスク

前回に続いて「モスク」です。今回はモスクの形?をテーマにしましょう。多くの方はモスクのイメージを抱いていることでしょう。ドームの天井をもった建物があり、周囲にミナレットと呼ばれる尖塔がある。ドームと尖塔、これだけでモスクの画像が十分に浮かんできますね。大和書房発行・山内昌之監修『イスラーム基本練習帳』51頁の図を引用してみましょう。

言うまでもなく図は一例であって、全てのモスクがこのようではない。先ずはミナレットである。高い塔であり、人が登ってここから礼拝の呼びかけ(アザーン)をする場所である。モスクの近くの宿に泊まると、早朝にアザーンの大きな声に目が覚めることも多い。今では塔の上にスピーカーを備え付けて、大音量で流すところが多い。でも地方の田舎の風景のなかで遠くから聞こえるアザーンは何とも言えぬ心地いい気持ちになる。

図は次にミーダーア(清めの水場)を紹介している。形は様々である。小学校の水飲み場のように蛇口が複数個並んでいるものもあれば、大きな池があったりもする。祈りの前には必ず身を浄めなければならない。

一番重要なのが図の下の方の「ミフラーブ」である。イスラム教徒のお祈りは、モスク以外の外でも、あるいは世界中どこにいてもメッカの方角を向いて行わなければならない。その方角を「キブラ」という。ミフラーブはモスクの建物のなかのメッカの方角にあたる部分の壁にくぼみを造って、装飾している。その隣に「ミンバル(説教壇)」がある。人々はミフラーブに向い、その人々に向って導師がミンバルから語り掛けるのである。

日本人が観光ツアーでイスラム世界に行くと、モスクを訪れることもあるだろう。個人で行く場合も美しいモスクは是非とも見てもらいたい。トルコのアヤソフアやブルーモスクのように世界中から観光客が押よせるモスクも、それはそれで素晴らしいものではある。しかしながら、ガイドブックに載っていないような小さなモスクに出会ったなら、そんなモスクにも入って見てほしい。本来の静かな祈りの場である。地元の人々や子供がのんびり遊んでいる風景がある。癒される風景である。次の写真はイスファハンの中で見つけた質素なモスクで写したものである。お気に入りの一枚である。

 

イスラムを知る:日本にいてキブラの方角を知るには?

モスクにはメッカの方角にミフラーブがあることを前々回に述べました。メッカの方角をキブラということも分かりました。私たちがイスラムの国に行って泊まった時に、部屋の天井に矢印のようなマークを見ることがあります。それはメッカの方角を示すもので、キブラ・マークと呼ばれるものが貼られているのです。ちなみに日本でもそのようなものを売っているのかと思って楽天市場を見てみると、ありました。キブラシールという名称の3枚セットで400円とありました。日本のホテルなどでも、ムスリムの宿泊者が多いところは、おそらくキブラシールを貼っていることなのでしょうね。

それでは日本にいて、キブラを知るにはどうすればいいのでしょうか。メッカの方角を知るわけですから、地図上で自分のいる場所とメッカを直線で結び、その直線と水平に引いた線との角度などから割り出せば、大体の方角は分かりますよね。でも、移動するたびに面倒くさい話になります。そんな時に便利なグッズがあるのです。キブラ・コンパスというものです。アマゾンで調べてみましょう。

YCMコーポレーション。キブラコンパス 日本製 AL-KAABAコンパス 901A という商品が出ていました。価格は1,100円と手軽な価格です。商品の説明は次のように書かれています。世界中どこに居てもメッカの方向を知ることが出来るキブラコンパスです。日本の老舗コンパスメーカーで60年以上前から生産されており、ドバイを中心に中東のイスラム圏で愛用されています。国内での需要増加に応じ、説明書は日本語にも対応しています。品質の良い日本製のキブラコンパスはちょっとした贈り物にも最適です。」

日本のメーカーが60年も前から販売しているものらしいです。日本でもこうして売っているわけですが、ドバイなど、つまりイスラム圏で長く買われているもののようです。日本の商品がこういう風にイスラム圏で使われてきていることを知り、日本のメーカーさんもすごいなあと感じます。

でも、時代とともにキブラの世界もどんどん変化しているのではないでしょうか。それはスマホの発展と普及です。イスラム・プロというアプリをダウンロードしてみました。そこではお祈りの時間の通知などとともに、キブラの項目があり、その画面が下の画像です。

このように、メッカの方向が簡単に示してくれるのです。世界中、何処にいてもメッカの方向を向いて、お祈りをすることができるのです。コーランの内容も知ることができるようです。ある意味で、イスラムは IT に対応できているような気がしてきました。