中東の食べ物?: デーツ(ナツメヤシ)

スーパーマーケットでデーツが売られているのを見つけました。懐かしくて、とっさにショッピング・バスケットに入れました。甘くて美味しいのです。最近では健康に良いということで人気があるようですね。日本ではナツメヤシとも呼ばれています。ウィキペディアではどう説明されているのかと、覗いて見ると次のように書かれていました。内容は全てが信頼できるものとは限りませんが、あくまでも参考としてのことです。

ナツメヤシは非常に古くから栽培されているため、本来の分布がどうであったかは定かではない。北アフリカか西南アジアのペルシャ湾沿岸が原産と考えられている。

耐寒性は低いものの、乾燥には比較的強い。雌雄異株。樹高は15 mから25 mで、単独で生長することもあるが、場合によっては同じ根から数本の幹が生え群生する。葉は羽状で、長い葉柄は3 mに達する。葉柄には棘が存在し、長さ30 cm、幅2 cmほどの小葉が150枚ほど付く。実生5年目くらいから実をつけ始める。樹の寿命は約100年程が普通であるものの、場合によっては樹齢200年に達することもある。

メソポタミアや古代エジプトでは紀元前6千年紀にはすでにナツメヤシの栽培が行われていたと考えられており、またアラビア東部では紀元前4千年紀に栽培されていたことを示す考古学的証拠も存在する。例えば、ウルの遺跡(紀元前4500年代−紀元前400年代)からは、ナツメヤシの種が出土している。シュメールでは農民の木とも呼ばれ、ハンムラビ法典にもナツメヤシの果樹園に関する条文がある。アッシリアの王宮建築の石材に刻まれたレリーフに、ナツメヤシの人工授粉と考えられる場面が刻まれていることはよく知られている。

ナツメヤシはギルガメシュ叙事詩やクルアーンにも頻繁に登場し、聖書の「生命の樹」のモデルはナツメヤシであると言われる。クルアーン第19章「マルヤム」には、 マルヤム(聖母マリア)がナツメヤシの木の下でイーサー(イエス)を産み落としたという記述がある。アラブ人の伝承では大天使ジブリール(ガブリエル)が楽園でアダムに「汝と同じ物質より創造されたこの木の実を食べよ」と教えたとされる。またムスリムの間では、ナツメヤシの実は預言者ムハンマドが好んだ食べ物の1つであると広く信じられている。

ということで、古くから中東地域で栽培されていたことが分かります。また、今でもデーツは中東諸国の農産物として大量に栽培されているのです。2008年に農林水産省から「GCC諸国の農業・貿易政策」という調査報告書を作成するように委託されたことがあり、一生懸命調べた想い出があります。その際にデーツが湾岸諸国の農産物の中でデーツが大きなウエィトを占めている農産であることを実感したのでした。

先ほど、デーツは健康に良いということでしたが、栄養価はどの程度なのか、今度は「上野アメ横。小島屋」のホームページの助けを借りましょう。次のように書かれています。

・ 便通を整える『食物繊維』
食物繊維には、腸内環境を整え、消化吸収を良くしたり便通を改善させる効果があります。また同時に、悪玉菌や有害物質を減らして腸内環境を整える効果もあり、生活習慣病をや感染症などの病気の予防や健康維持にも重要な成分です。
デーツには、ごぼうと比較すると1.3倍もの食物繊維が含まれており、中でも不溶性食物繊維が豊富です。不溶性食物繊維は、腸の中で水を含んで腸を刺激し、便通を整える働きがあります。また有害物質を減らすため、大腸がん予防に効果があるとして期待されています。

・ 貧血予防だけじゃない『銅』
デーツは様々なミネラルも豊富に含んでいます。ミネラルとは、体内で酵素などとして働き多様な作用に関わる重要な栄養成分で、銅はその1種です。銅は、ヘモグロビン合成や免疫細胞のエネルギー代謝に関わり、また活性酸素を除去する働きを助けます。デーツは、ドライフルーツの中でもトップレベルの銅含有量を誇っており、貧血予防や免疫力アップに嬉しい果物なのです。

・ 味覚を保つ『亜鉛』
亜鉛とは、タンパク質・DNAの合成や免疫機能の維持、味覚の維持など多くの役割を持っているミネラルです。舌にある味細胞は日々作り変えられていますが、亜鉛はこのような細胞の生まれ変わりをサポートするのに欠かせないミネラルなのです。

さらに次のような項目を挙げて、デーツの良さを説明しています。
以下は見出しだけにしておきます。興味ある方は「小島屋」のホームページを直接ご覧ください。

・ 縁の下の力持ち『マグネシウム』
・ 抗酸化力を持つ『βカロテン』
・ 二日酔いに効く!『ナイアシン』
・ 多機能ビタミン『パントテン酸』
・ デーツの健康&美容効果4つ
・ ①貧血の予防に
・ ②酸化を防いでアンチエイジング
・ ③ストレス対策にも
・ ④ダイエット効果も注目!カロリーは控えめ?!
・ デーツの健康・美容効果を高める食べ方

本当に体に良い食品であることが分かりました。栄養機能食品などの通販カタログにもデーツは出ています。しかし、結構いい値段しているように思います。この度買ったものは300円で小さな袋ですので、買いやすい値段でした。チュニジア産で種を抜いていたので食べやすく美味しかったです。以前、東京ジャーミー(モスク)に行ったときに、売店で一箱一杯入ったものが500円で買った覚えがあります。イスラムでは断食の日の日没後や断食明けの際に一番最初に口にするのがデーツです。中東・イスラム社会では必需品なのであります。皆様も是非とも食して見てください。日本の干し柿にちょっと近い感じがしますが、どうでしょうか?

書籍紹介:アケメネス朝ペルシア・史上初の世界帝国

前回の記事投稿が、10月9日でした。アラビア書道展が川崎で開かれたので、そちらを訪れたついでに子供たちの家に行って1週間ほど滞在してきました。子供たちというより、目的は久しぶりの孫二人と会いたかったわけです。コロナのせいで2年近く会ってませんでした。といっても、昼間は孫たちは学校や保育園に行ってるわけですから、私は暇なわけです。今回はパソコンを持参しなかったので、暇つぶしのために見つけたのがタイトルの新書版です。

 

中公新書、阿部拓児著『アケメネス朝ペルシア・史上初の世界帝国』880円+税です。書店で偶然発見したのですが、発行は今年の9月ですから新刊です。とっさに思ったことはアケメネス朝ペルシアだけで一冊の本を一般人向けに出版することができるんだ!ということです。失礼かもしれませんが「へえ、こんな本でも売れるのかなあ?」という思いでした。アケメネス朝ペルシャは当然世界史で学ぶところでありますし、キュロス大王やダレイオス大王とペルセポリスの遺跡、そしてこの帝国がアレクサンドロス大王に滅ぼされたことなどで興味・関心もある人は多いでしょう。でも、その中間の部分つまり、ダレイオス大王の最盛期から末期に至る間のことはあまり関心がない人が多いと思っているのです。正直、自分もそうでした。そのような偏見に満ちた私感はここまでにしましょう。ペルシアに興味のある人は是非とも読んでいただきたい本だと思います。

まず、最初に伝えたいことはダレイオス大王がアケメネス朝の初代の王かもしれないということです。普通は初代がキュロス大王で二代目が息子のカンビュセス、そして3代目にするか4代目かと紛らわしいダレイオス大王となるのですが、キュロス大王の国とダレイオス大王の国は分ける考え方もできると諸説を紹介しています。私もこの説は以前から知っています。青木健氏はその著書の中で、キュロス大王から3代目までをチシュピシュ朝としています。今、世の中にでている歴史書の中の系図で、アケメネス朝は以下の図になっています。

確かにダレイオス1世(ダレイオス大王)はキュロスの直系ではありません。しかし遡れば繋がるということになるわけです。しかし真実はそうではなくて、ダレイオス大王が自らが王位についた正統性を主張するために作り上げた可能性があるというのです。それに関することがらがいくつか示されるのが大変興味深い。

カンビュセスが死んでダレイオス大王の時代になるわけであるが、カンビュセスの死とそこにまつわるストーリーもいくつかのシナリオが示されておりこれまた興味深いものであります。普通は、カンビュセスが実の弟を殺害し、秘密にしていた。しかし、それを知った弟に瓜二つのそっくりさんが、カンビュセスのエジプト遠征中に弟になりすまし王位就任を宣言する。慌てて引き返すカンビュセスが馬から落ちて死ぬとかなのでありますが、このあたりのストーリーも諸説があり、面白い。

とにかく、大昔の歴史であり、その当時を伝えるのがヘロドトスの『歴史』やクテシアスの『ペルシア史』しかないのである。あと有力なものとしてはベヒストゥーン碑文であり、私も地上100m、断崖絶壁に登りこの碑文を目の前にして感動したのですが、この碑文はダレイオス大王が造った、造らせたものであるから、自分に都合の良いように記している可能性は皆無ではないわけです。

このようにこれまで当たり前とされていた点が、そうでなくなるという内容は中々読みごたえがあるものです。しかし、一般読者にはそこまで細かい点は必要ないと思う点もあるので、適当に取捨選択してページをめくればいいでしょう。

 

 

 

 

 

2021年度アラビア書道展が始まります。

今年も作品展の季節になりましたので、作品を発送しました。会期は12日から17日6日間です。上の画像が私の作品です。3年連続してオマル・ハイヤームのルバイヤートの中から選んだ一つです。右側にナスタアリーク書体(ペルシャ書体)です。右面のサイズはA3です。左側にもA3サイズに詩の和訳と挿絵を入れていますが、額の幅に合わせて少し重ね合わせています。約3カ月間、何枚も書きましたが、最後まで満足できる出来ではありませんでした。س や  ن  の丸い部分の形が奇麗に書けないのです。また、長く伸ばして書く部分の曲がり具合が流麗に書けなかったりするのです。こちらが良ければ、あちらがダメとかになるのです。結局すべての部分がいいと思うようには書けない。これが今の自分の実力なのでしょう。

昨年もそうでしたが、今年の作品展もアラビア書道だけではなく、ペルシア書道、モンゴル書道、ハングル書道とのコラボ作品展なのです。多種多様な作品が展示されますので、お近くの方は是非とも御覧ください。そして11月にはアラビア書道単独での作品展が京都で開催されます。
こちらは2年ぶりの開催となります。私は出品を予定しておりませんが、もしかして、新しい作品が書き上げられるなら、出品するかもしれません。こちらの方の案内状も以下に紹介しておきます。