アンケート:原爆正当化?核兵器廃絶?

前回の「広島前回の「広島の日、長崎の日」に続きです。テレビでもニュースとして流れていましたが、広島資料館を訪問した外国人を対象にした調査結果です。❶原爆投下は正当化できるか?について68.4%が正当化はできないと答えたのでした。私が注目したのは6.2%が正当だと思ったが、展示を見て正当化できないと考えを変えたことです。現在の世界情勢を見ると核拡散のリスクが非常に高まっています。核廃絶運動も無力だなという想いが私の中では強くなっていました。それが、資料館を見ることによって考えが変わったという外国人が多く居たことは少なからず朗報でした。やはり地道に訴えるしかないということですね。

もう一つの問いは❷核兵器は廃絶すべきかというものです。当然のように廃絶すべきだが約90%に達しています。しかし36%は現状では困難との見方を示しています。気になるのは「廃絶すべきでない」という3%です。少数とは言え、核兵器が抑止力になるという考え方なのでしょう。資料館を見ても、依然として核兵器が必要だとの考えを変えることがなかったのです。

先ほど、❶の調査の結果をみて朗報だと述べましたが、実はこの調査の有効回答者数は核保有国を含む62か国地域の千人なのです。全世界の74%が「正当化できない」と答えたのではありません。僅か千人のなかの740人をもって世界全体の趨勢だとは到底言えないでしょう。調査結果は米国人に絞ったデータも示していますが、正当化できるは13%と全体に見る比率よりは高いです。原爆投下国としては、戦争を終わらせる意義深いものだったという考えもあるようです。もし、そういう想いなら広島だけで終わらせて欲しかったです。長崎に2発目を投下する必要ななかったのではないでしょうか。原爆の余波はまだまだ続いています。先日は黒い雨の被災者認定の話が出ていました。認定された人の一方で認定されない被災者もいるということです。原爆から80年、悲劇は継続しています。

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広島の日、長崎の日

今年も広島・長崎の原爆の日の式典が終わりました。日本政府は核兵器無き世界をと訴えても、依然として核兵器禁止条約には加盟する意志がありません。日本の安全保障が核の傘の下で平和を維持するという基本政策があるためです。核兵器によってあれだけの悲惨な過去を被っている唯一の被爆国でありながら、核の傘の下で安寧を得る姿勢は国民の総意なのでしょうか。
ガザではイスラエルが大虐殺を継続し、止める気配はありません。それどころか、秋までにガザを完全に制圧するというのです。ウクライナの戦争もトランプとプーチンが近く話し合いをするとのことですが、どんな結果がでるのでしょうか。トランプはビジネス的な取引をしようとするのでしょう。ウクライナの意向とは違う方向に進むこともあるかもしれません。
私は平和を祈ることしかできません。

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イラン、イスラエル戦争その後

前回の投稿から約1週間が経過し、7月になりました。トランプが米軍にイラン攻撃を命令し、核施設を攻撃しました。地下深くに築かれた核施設を破壊することもできるという超大型爆弾を投下したというのです。爆弾を60mの地下に打ち込むと、爆弾はそこで爆発するということで、トランプはイランの核施設をほぼ全滅に近い状態に破壊したと成果を誇りました。大規模な攻撃を受けたイランはカタールにある米軍基地を米側に通告したあとでミサイルを撃ち込んだと発表。トランプもイランの通告のおかげで被害は軽微に済んだと謝意を述べていました。一応、イランの名目も立ったような形でお互いが幕引きを図ろうとしたようです。

トランプ自らがイラン攻撃に参加し、その後で自らが戦争を終わらせた立役者だというシナリオでイランとイスラエルに停戦をするように圧力をかけたわけです。戦争を止めて、核開発を断念しなければ再度攻撃もあることをほのめかしながら、イランとアメリカが協議するという計画らしいです。独りよがりも甚だしいことですね。広告

イランの核施設の状況はどうなのか明白ではありません。米は成功したと主張する一方でイランは被害は大したことがなかったと主張します。ウラニウムは事前に安全な場所に移したといっているのです。イランの言うことが例えそうであったとしても、大きな被害を受けた、と言っておけば良いのにと私は思うのですが。アメリカとイスラエルはイランの核が怖いのですから、核開発が今後も続く可能性があるなら、再度攻撃することになるでしょう。私は昔書いた本の中で「イランは寝業師である」と書きました。かつてロシアがイラン領に侵略したときの交渉で一部の石油利権を与える条件で、ロシアの撤退を成功させたことがあります。ロシアの撤退後にその協定を議会が批准しなかったために石油利権は与えなかったのです。トランプには騙し合いも通用しないかも知れませんが、まともに相手にするのもどうかと思いませんか。

いずれにせよ、イスラエルが仕掛けた攻撃が終わったようですが、安心はできません。イスラエルはガザの攻撃を再び始めています。多くの血が流されています。イスラエルから攻撃を受けたイラン人の叫びをSNSで読みました。「イスラエル人は人の血を栄養源としている!」というのです。戦争は被害者である一般の人々の心も憎しみに満ち溢れさせてしまいます。

ここまでの文章は7月1日に書いたものです。その後、アメリカ=トランプ側もイランの核施設のダメージが期待通りのものではないと疑い始めたようですね。今後のイランとの協議で言うことを聞かない場合は更なる攻撃をするとの意向のようです。協議がいつ始まるかも全く不明な状況です。とにかくトランプの言うこと、やることはいい加減ということです。今はまたガザに矛先を向け、一方で日本他への関税アップの通達を送るなど大忙しのようです。7月8日記

 

米軍がイラン核施設を空爆

昨日の11時ごろでした。NHKワールドのサイトからタブレットに速報のお知らせが届きました。急いで開けてみると上の画像が現れました。トランプが米軍がイランの核施設を攻撃したとの演説が流れました。テレビをつけるとNHKニュースもこのことを伝えていました。オーマイゴッド!と私は叫びました。先にイスラエルがイランを攻撃し、イランも報復攻撃を繰り返していたさなか、アメリカは2週間以内に攻撃するかどうか思案中ということだったわけですが、たった2日後に空爆が実施されたのでした。

翌日、つまり今日の中日新聞朝刊第一面です。勿論大きく取り上げています。詳しくは皆さん既にニュースでご承知のことですね。イランの核施設3カ所を攻撃したとのことです。アメリカは3カ所を完全に破壊したと言っています。イランは降伏して核開発を放棄しなければならないと主張しています。

これ以後は私の私見です。私はイランが核兵器や核爆弾を持つことは止めて欲しいと思います。が、それはイランだけでなく世界中の国にとっても同じ思いです。既に核を保有している国々も持ってはいけないということです。広島、長崎の被爆体験を有する日本、日本人は特にそう考えるべきだと思っています。欧米諸国はイスラエルがイランを攻撃を仕掛けたことに対して、イランに核を保有させないためにイスラエルの立場を理解できると表明し、イランに核協議に復帰するように勧めていました。核協議に参加したり、離脱したり、再び参加しているのは米国ではないでしょうか。協議が行き詰まれば力でねじ伏せようと空爆するのがアメリカのやり方、イスラエルと一体の今回の行動に怒りを覚えるのです。イランが核開発を進めるのを認めるという気持ちは私にはありません。現政権に対するイランの多くの国民が不満を持っていることも知っています。民主的な国家に生まれ変わるべきだとも少なからず思っています。でも、今回のように戦争を起こして、多くの市民を殺したり、生活を破壊するようなやり方は駄目でしょう。イスラエルが同時にやっているガザでの虐殺は5万人を超えました。前にハマスの攻撃でイスラエル人が殺されたことの報復というのが大義名分かもしれませんが、度の超えたやり口でしょう。
6月23日記

 

飯山陽著『イスラム教再考』を読書中

久しぶりにイスラムの本を読んでいます。著者は飯山陽さん。メディアで見かけることもあるのでご存知の方もいるでしょう。彼女の著書は以前に『イスラム2.0』(2019年)を読んだことがあります。その時のことはこのブログの2020年7月31日に書いています。非常に優れた若手の研究者だなと感心した覚えがあります。そして今回の『イスラム教再考』になったわけです。2021年の発行なので既に6年が経過しているのですが、私はこの本の存在を知りませんでした。
今回のブログのタイトルが「読書中」となっているように、まだ読み終えてはいません。なかなか前に進まないのです。この本の内容もよく勉強しているなあと前回同様に関心すること大です。そのことは巻末の参考文献の多いことでも感じました。まだ最後まで読み終えていないので、内容について批評できる状態ではありません。

なぜ先へ先へと読み進めないかという理由があるのです。著者は非常に勉強しており、参考文献の多さからもわかるように、他の研究者の研究内容や言動に対しても熟知しているようです。その結果、イスラム研究者の考え方を批判する部分がこれまでのところ多いと感じるのです。これまで私自身が彼らの考えに賛同した部分もあったりするので、立ち止まってしまうのです。良いか悪いの問題ではなくて、そういう考え方もあるということに慣れていない部分があるのでしょう。新書版の小さな本です。でも内容は重くて大きいです。ゆっくり読むので、読み終えて何か言いたいことが出てくればまた書かせてもらいましょう。それではまた!

 

ガザの停戦その後

前回、記事を書いたのは2月6日でした。その直後にイスラエルのネタニヤフ首相がトランプ米大統領を訪ねて会談しました。そして、その後の記者会見の場でトランプが突然「パレスチナの住民を他所に移す。そして、破壊されたガザの町をアメリカが再開発して素晴らしい都市を建設する」というようなことを発言したのでした。これには世界中が驚き、ブーイングが広がりました。ネタニヤフも驚いたようでした。あれから一カ月が経過しましたが、その話も話題にはならなくなりました。イスラエルとハマスの停戦合意の次のステップに入ることも滞っているようです。トランプはウクライナの停戦合意のほうで手が一杯ではありましょう。
そんな中で冒頭の画像は中日新聞の記事です。イスラエルのアンフェアなやり口を批判しています。イスラエルというよりネタニヤフのやり方なのでしょう。批判する気にもなりません。そんなことではいけないと思いながらも、何もできない、何もしない身としては何も言えません。新聞記事を広める位がせいぜいです。

ガザの停戦その後

ガザの停戦が実現したのですが、その後、イスラエルがヨルダン川西岸地区で小規模ながらも戦いを続け、パレスチナ人が殺害されていましたが、今は静かになったようです。そんな今、私はこの本を取り寄せて読んでいます。

『異形のユダヤ人国家の正体を暴く』と題したもので、ユダヤ人の歴史家が書いたものです。異形と表現するように、今のイスラエル国家はユダヤ人国家本来の姿ではないと、イスラエルの暴挙を入植植民地主義と非難しています。ナチスによるホロコーストの大虐殺の被害者であったユダヤ人達がいまイスラエルという国で大虐殺と言えるガザへの侵略を行っている現実に私は憤っていますが、多くのユダヤ人もまた怒りを覚えているということが分かりました。タイムリーにも中日新聞はこの著者のインタビュー記事を掲載しました。ガザ攻撃はユダヤ教の教えに反していると述べています。

次の記事は中日新聞の書籍紹介の中の一つです。これまたユダヤ人がパレスチナの現実を伝えるものです。ユダヤ人達がイスラエルの行為に対して批判的であることがわかります。次に読んでみたいと思います。

他にも次のような本も出版されています。ちょっと高いので図書館にあればいいですが。皆さんもどうかガザに平和が来ることを祈りながら現実を知るために読んでいただければ嬉しく思います。

ガザの停戦

1月19日から6週間の停戦が合意に達した後も、イスラエルの攻撃は続いていたが、19日になり3時間ほどの遅れがあったが、人質3人が解放されて、停戦協定が発効となった。今回の停戦はあくまでも第一段階であり、60日間の一時的な停戦協定である。その後に第2段階、第3段階のステップが協議されることになっており、今後の展開はどうなるか全く分からない。といいうものの、一時的にせよ6週間というある程度まとまった期間で停戦が実現したことは良かったと言えよう。

ただ、イスラエルのネタニヤフはハマスを壊滅させるまでは戦い続けると主張している。また彼と連立政権を構成している2つの極右派は停戦に反対しているし、実際、1つのグループは連立から脱退した。連立政権は辛うじて維持できている状態である。また、ネタニヤフはハマス壊滅だけではなく、ガザからパレスチナ人を一掃するのが本音だとの説もあり、この先の展開は全く予断を許さない。中東ではレバノンのヒズボラがイスラエルにより弱体化し、その影響もあってシリアのサダト政権も崩壊した。トルコもイランも今のところ鎮静をたもっているようである。ガザの今後の進展に合わせて中東諸国がどのように動きだすか、眼を離せない。

 

今年も終わり近くになりました。

ご無沙汰しております。
11月末から約一カ月間、風邪が治らず苦しんでいました。鼻水と痰が酷く、熱はないのですが、食欲がありませんでした。そのうち、治ったかなと思ったら、急に熱が出て1日で治まったのですが、その後は咳に悩まされました。夜寝てから咳が止まらなくて眠れない夜が続きました。クリスマス前にやっと回復しましたが、もう少し本調子ではありません。インフルエンザでもなく、若い人に流行っているマイコプラズマ肺炎でもないし、原因は分かりませんでした。老化による免疫低下で何事も長引くようです。

この間、シリアでのアサド政権崩壊が最大の出来事でした。アサドがシリアを脱出し、新しい政権が発足するのですが、どうなるかは混沌としています。トルコやアメリカが新政権を取り込もうと動きます。アメリカは、これまで敵対していた連中をテロ組織のラベルを解除したようです。イスラエルのガザの件も変わりなく、先が分かりません。

年末です。しばらくは嫌なことは忘れて、新年を迎える準備をしましょう。私も、1月から元気に書き始めるようにいたします。それでは良いお年をお迎えください。

 

イランの新大統領決選投票で改革派候補が勝利

2004年7月6日、イランの大統領選挙で改革派候補者が当選した。一回目の投票で過半数を獲得した候補者がいなかったために、上位2人による決選投票となっていた。私としては当然保守派が当選するための儀式でしかないであろうと予想していたのあるが、意外な結果に驚いている。保守派にとっては1回目の選挙結果が大きな誤算であった。保守強硬派の有力な2人の候補者の一本化ができなかったため、二人の候補者が1位と3位に票が割れてしまったのである。そして知名度の低い改革派のペゼシュキアン候補が第2位に食い込んだのであった。冒頭の新聞は7月7日付の Iran Daily 紙である。写真の左側のコラム(英文)には次のような編集者の記事がある。

モスタファ・シルモハマディ編集長
マスード・ペゼシュキアン氏は、イランの有権者6140万人のほぼ半数が投票した決選投票で、イランの第9代大統領に就任した。社会、政治、経済改革を公約に掲げて出馬した70歳の元保健大臣は、約1640万票を獲得した。一方、保守派のサイード・ジャリリ候補は約1350万票を獲得し、金曜日の時点で勝者と9%以上差をつけた。
(中略)
ペゼシュキアン氏は、経済繁栄、社会的自由、インターネット規制の緩和と解除などの選挙公約を実現し、4年間の任期中にこの国家資産を守るという大きな重荷を背負わなければならない。
このベテラン改革派には、制裁を受けたイランの経済を強化し、国民生活の向上を第一の優先事項とする以外に方法はない。これは、次期大統領選挙の支持基盤を維持し、一般投票率を上げるために、在任中の計画の要となる可能性がある。
急激なインフレ、2桁の失業率、法外な家賃など、経済的困難に見舞われている国を、選挙に積極的に参加させるのは「ミッション・インポッシブル」のように聞こえる。
こうした目標を達成するために、次期大統領は、他の権力機関、経験豊富な政党、そしてイスラム共和国内の同様に強力で影響力のある人物や団体を味方につける必要があることは間違いない。争いや内紛は、彼の政府だけでなく、より広い意味ではイスラム体制全体に害を及ぼすだろう。なぜなら、これが彼の改革計画の失敗を早め、結果として次の大統領選挙で多くの有権者の士気を低下させる可能性があるからだ。
国民の団結は、ペゼシュキアンの新興政権の成功にとって必要条件である。

承知のようにイランの政治体制では大統領の上に最高指導者が存在する。現在はハメネイ師である。彼は保守強硬派の頂点であり、大統領と言えども彼には逆らえないのである。新大統領が改革を進めようとしても保守派からの横槍が入るのは当然のことである、過去にもハタミ大統領、ロウハニ大統領などの穏健派大統領が選ばれたが思うような政治ができなかった経緯がある。今回も新大統領が難しいかじ取りに苦労するのは自明である。そのためにも上述の新聞記事が述べているように国民の団結を力にするように最大限の努力が必要であろう。