前々回の続きになります。
イスラエル国会は13日、右派政党「ヤミナ」のベネット党首が率いる連立政権を承認し、歴代最長の12年続いたネタニヤフ政権に終止符が打たれた。連立を切り崩そうとしていたネタニエフの抵抗もむなしく、イスラエル国会は連立政権を承認した。投票結果は60対59であるからギリギリの得票であった。連立を率いるベネットのヤミナ党は右派強硬派であるから、これまでのネタニエフと同じ傾向の思想であるが、連立構成は前々回に述べたように8党の構成であるから、右派強硬派ばかりではない。ベネット自身がこれまでに比べて、穏健な面を出さざるを得ないというような発言をしている。様々な思想をもった党の連立であるから、いつ破綻するかもわからない。ネタニエフの汚職に関する裁判も進むことであろうし、今後のイスラエルを注視することが必要だ。
イスラエル:ネタニエフ政権の終焉か!
これまで何度か総選挙をやっても連立協議がまとまらずに選挙を繰り返したイスラエルであるが、この度、タイムリミット30分前にようやく八つの野党が連立を組むことに合意した。というものの最後までどうなるかはわからない。
出所:中日新聞
上の図でお分かりのように、今予想されている連立野党の議席は62と、過半数の61に対して一人多いだけなのである。造反者が一人でも出れば過半数には達しない。何よりも危惧されているのは、8党の政治思想がバラバラであるということ。これで連立を組んで事がスムーズに進んでいくのかということである。主義主張が異なる者同士の連立であって、唯一一致しているのは反ネタニエフということだ。第二党党首のラピド氏が組閣作業を開始したわけであるが、今後の動向は注目しなければならないだろう。
私個人としては、ネタニエフ政権のパレスチナに対する強硬な姿勢には辟易している。この二年間に4回の総選挙をしても政権を樹立できなかったということは、彼の求心力は既に衰えているということだ。汚職問題も発覚して、彼の立場は弱まっている。その彼が、自分の足元を固めようとするために手っ取り早い手法は、国外の敵(ここでは当然パレスチナ)との抗争を拡大することである。パレスチナに平穏をもたらすのはもだ遠い先のことであろうが、ネタニエフは退場してもらったほうがいい。
イランの大統領選挙
日本の新聞でも取り上げられているように、イランの大統領選挙に出馬する候補者7名が決まりました。とりあえず、イランの新聞に掲載されている候補者紹介のタイトルをここに紹介しておきましょう。
Hemmati: イランは大統領として経済学者を必要としている
前中央銀行総裁である彼は自分の経済面での専門性を生かそうとしている。
Jalili: すべての分野で大きな飛躍が必要
核問題について次期政権は消極的な姿勢をしては駄目だといっている。
Mehralizadehは:低所得者への現金配布を5倍に増やすことを約束します
前副大統領である彼は当選すれば貧困層や低所得者に支払われる現金支給額を5倍に増やすと述べた。
Qazizadeh-Hashemi :立候補は名声を獲得することを目的としていない
当選すれば、国民の参加を奨励し、国内経済への政府の関与を減らす方向に動くだろうと述べた。イランの経済は完全に公的部門によって運営されていると付け加えた。
Raeisi:当局は批判にさらされるべき
彼の描く政権は、国の高い住宅価格に対処し、若者の間での結婚を奨励するために、4年間の任期中に400万ユニットを建設する可能性があると述べた。住宅価格の高騰が、若者が結婚して家族を始める上で「大きな障害」であると付け加え、懸念を和らげるために手頃な価格の住宅を建設する努力をすると誓った。Rezaei :当選すればより効果的な外交を目指す
次の大統領に選出された場合、人々の時間を浪費するために提起された問題に対処することを容認しないだろうと述べ、より効果的で真の外交を追求すると付け加えた。イランは国際社会から距離を置くことはできないと付け加え、イスラム共和国は米国を含む一部の世界大国と利害が対立していると指摘した。
Zakani:リーダーが承認すれば米国と交渉すると言う
イラン・イスラム共和国の指導者アヤトラ・セイエド・アリ・ハメネイが許可を与えれば、彼の政権は米国と交渉すると述べた。
立候補を届け出た者は、立候補事前審査をパスしなければならない。そして、それを審査するメンバーを最高指導者が選ぶわけである。最高指導者の息のかかった者が選ばれ、彼らの審査結果も自ずから最高指導者の意向に沿ったものとなる。つまり、候補者に選ばれた人物はいずれも保守強硬派に近い人物である。これに対してブーイングを唱える者も多くいるが、最高指導者の権力は絶大なるものであり、どうにもならない。ロウハニ現大統領も改革派や保守穏健派の候補者を入れるように嘆願したともいわれているが結果は変わらない。
選挙は今月の18日に実施される。ライシ氏が最有力であり、信任投票に様なものであると言われている。いずれにせよ、現在、トランプからバイデンに米大統領が変わったことにより、米国が脱退したイランの核合意について交渉が行われているところである。今回の大統領選びは実は非常に重要な選挙であるのだが、これでは国民の意向を反映させることはできない。投票に行かない国民が増えることは必至である。
在イスラエルの米大使館
日本時間の21日午前にハマスとイスラエルの間で停戦合意に至った。この間にパレスチナ側では多くの子供たちも犠牲になっている。国連安保理事国の足並みが乱れて、停戦への道筋がつけられなかったが、エジプトの仲介ということで停戦に至った。
衝突の発端は例のごとくエルサレムでの両者の扱いによるものであるが、今回、このように一気に激しい戦闘になったことは、双方のリーダーの自己本位的な思惑によるところが大きい。特にイスラエルではネタにエフが求心力を失っており、それを挽回する意味でも非常に強硬な手段に出たのである。
両者の衝突のことはさておいて、停戦協定のあと、米国務長官であるブリンケンが25日にイスラエルを初訪問した。彼がネタニエフと会談したあと、パレスチナ自治区でアッバス議長とも会談し、その後、エジプト、ヨルダンを訪問したはずである。
トランプ前大統領がイスラエルの米大使館をテルアビブからエルサレムに移転させたことは2018年のことであった。実は米合衆国議会では1999年5月31日までにエルサレムへ移転するように1995年10月23日にエルサレム大使館法(Jerusalem Embassy Act)が成立していたのであった。しかしながら、クリントン、ブッシュ、オバマ大統領はそれを執行しなかったという経緯がある。それは1967年の第三次中東戦争でイスラエルが獲得した土地を、アメリカが公認することになるとの恐れであった。それをトランプが執行したのであった。当時、アラブ諸国は勿論、世界各国が非難したものであったが、移転は実行された。
トランプからバイデン大統領に代わっても、米国大使館の位置は元には戻らない。議会で決めたことをトランプは執行しただけであるから、戻しようがない。戻すなら再び議会での議決が必要となるのだろうが、現在の米の政治家がそんなことをするわけがない。トランプが脱退を指示したパリ協定や、そのほかの国際協定への復帰はあっても、エルサレムの米大使館の位置はもう戻らないのである。冒頭の図は旧市街と米大使館の位置を示す地図である。ウィキペディアには次のように書かれている。「この場所はエルサレム旧市街のダマスカス門(Damascus Gate)から公道60号線で約5km南へ行った所のそばで、一部は1946~67年停戦ライン(1946-67 Armistice line)に跨っていて、一部は西岸地区に、一部は無人地帯にある。国連の人は、国際法上は占領地区にあるのでどちら側もそこを使うことはできない、ともいっている。」
中東のコロナ感染状況2
昨年の今日、5月19日付の米国ジョンズ・ポプキンス大学のコロナによる世界のコロナ感染の集計から中東諸国と日本を編集して以下のようにアップしました。1年後の今はどうなっているのでしょうか。
2020/5/19 | |||||
Country | Infected | Death | Country | Infected | Death |
Turkey | 150,593 | 4,171 | Bahrain | 7,184 | 12 |
Iran | 122,492 | 7,057 | Oman | 5,379 | 25 |
S.Arabia | 57,354 | 320 | Iraq | 3,554 | 127 |
Qatar | 33,969 | 15 | Lebanon | 931 | 26 |
UAE | 24,190 | 224 | Jordan | 629 | 9 |
Kuwait | 15,691 | 118 | Yemen | 130 | 20 |
Egypt | 12,764 | 645 | Japan | 16,305 | 749 |
上の数字を見ると、あの頃に大騒動していたのが噓のようです。日本が1万6千人だったのです。今なら3日でこの数値に達しています。それはさておいて、今日現在の数値が次の表になります。
2021/5/19 | |||||
Country | Infected | Death | Country | Infected | Death |
Turkey | 5,139,485 | 45,186 | Bahrain | 202,556 | 752 |
Iran | 2,779,415 | 77,532 | Oman | 207,109 | 2,219 |
S.Arabia | 435,027 | 7,188 | Iraq | 1,146,948 | 16,029 |
Qatar | 213,855 | 536 | Lebanon | 536,554 | 7,641 |
UAE | 548,681 | 1,637 | Jordan | 726,432 | 9,295 |
Kuwait | 292,490 | 1,696 | Yemen | 6,586 | 1,297 |
Egypt | 246,909 | 14,388 | Japan | 694,041 | 11,674 |
いずこも増えています。この数値がどこまで正確かは疑問もあります。が、日本の死者数はサウジ、UAE、レバノン、ヨルダンなどの感染者40~70万人という国と比較しても多いように感じます。医療が進んでいると思っていた日本ですが、ヨルダンは感染者が日本より多いけど、死者数は少ないということが分かります。
ここには掲載しませんが、トルコのワクチン接種は2600万人程になっています。総人口の30%位になります。それに比して日本は対象者の数パーセントというのはいかにもお粗末ではないでしょうか。接種予約段階でトラブル続きの日本は先進国とは言えません。中東地域のコロナの状況をお伝えするつもりでしたが、日本の実体の愚痴になってしまいました。
ローマ法王がイラクを訪問
今月上旬にローマ法王が4日間の日程でイラクを訪問した。イスラム社会への訪問ということで注目され、若干の心配もあったが無事訪問を終えて帰国した。この訪問の様子をバチカン・ニュースの記事で紹介してみよう。
冒頭のビデオ:教皇のイラク訪問、2日目ハイライト
2021年3月6日、イラク滞在中の教皇フランシスコは、訪問2日目を迎えた。教皇は、同日午前、中南部ナジャフで同国のイスラム教シーア派最高権威シスタニ師と会見。続いて、南部ウルで諸宗教代表者らとの集いに参加。午後、教皇はバグダッドのカルデア典礼カトリック教会のカテドラルでミサを捧げられた。
上のビデオ:教皇イラク北部へ、アルビルに到着
教皇フランシスコは、イラク訪問3日目、2021年3月7日早朝、北部アルビル空港に特別機で到着。空港内でクルド自治政府のネチルバン・バルザニ大統領およびマスルール・バルザニ首相と会見した。教皇はここからヘリコプターでモスルへと向かった。
上のビデオ:教皇のイラク訪問、3日目ハイライト
2021年3月7日、教皇フランシスコは、イラク訪問の実質的最終日といえる滞在3日目、同国北部に向かった。午前、アルビル経由で訪れたモスルでは、紛争の傷跡が残る広場で、すべての犠牲者のために祈られた。次いで、カラコシュのカテドラルで、教皇は信者らと交流され、復興を励まされた。午後、再びアルビルに戻った教皇は、市内の競技場でミサを司式された。
教皇、イラクからの帰国便で機内会見
教皇フランシスコは、イラク訪問終了後、帰国便の機内で記者らの質問に答えた。
「戦争への答えは兄弟愛」教皇、イラク訪問を振り返る
教皇フランシスコは、3月10日(水)、一般謁見をバチカン宮殿からビデオ中継で行われた。この席で教皇は、先日行われたばかりのイラク訪問について報告された。
教皇は、3月5日から8日まで、イラクに赴き、首都バグダッドをはじめ、ナジャフ、ウル、アルビル、モスル、カラコシュの各地を訪れていた。
教皇は、「イラクを訪問することは、聖ヨハネ・パウロ2世が果たせなかった計画を実現することであり、これまでアブラハムの地を訪れた教皇はいなかったが、神の御摂理は長年の戦争とテロ、パンデミックの試練の中に、希望のしるしとしてこの訪問が行われることを望んだ」と話された。
教皇はこの訪問の実現を神に感謝すると共に、イラク大統領と政府および教会関係者、そして、ナジャフで会見したイスラム教シーア派の大アヤトラ(最高位聖職者)シスタニ師をはじめとする諸宗教代表者らに心からのお礼を述べられた。
「悔い改めの心のもとに行ったこの巡礼で、イラクの人々が長年背負ってきた大きな十字架を、カトリック教会の名のもとにご自分が背負うことなくしては、迫害に苦しんだこの民に近づくことはできないと思っていた」と教皇は語り、実際、破壊の跡や、暴力・迫害・避難を体験した人々の証言を聞いて、その思いはより深まったと話した。
その一方で、この訪問を通し、キリストのメッセージを受け入れる喜び、また「あなたがたは皆兄弟なのだ」(参照 マタイ23,8)というイエスのメッセージに要約される、平和と兄弟愛へと開く希望を、人々の間に見ることができた、と語った。
「イラクの人々には平和に生きる権利がある。彼らが持つ尊厳を取り戻す権利がある」と教皇は述べ、「文明のゆりかご」であるメソポタミアの数千年にわたる歴史、宗教・文化的ルーツに思いをはせられた。
時代は変わっても、都市や文明を破壊し、人類を蝕んでいくのは、常に戦争であると述べつつ、教皇は「戦争への答えは、別の戦争ではない。武器への答えは、別の武器ではない。その答えは、兄弟愛である」と強調。これはイラクだけの挑戦ではなく、全世界の挑戦である、と説かれた。
この兄弟愛のために、アブラハムの地、ウルで諸宗教代表者らが集い、父祖アブラハムがおよそ4千年前に神の声を聞き旅立った、その同じ天の下で祈りを共にした、と教皇は語った。
バグダッドのシリア典礼カトリック教会のカテドラルでイラクの教会関係者との出会いが行われたが、そのカテドラルは、2010年、ミサ中のテロ攻撃で、司祭2人を含む48人の犠牲者を出した場所であると教皇は説明。イラクの教会は殉教者の教会であるが、教皇を迎え人々が再び取り戻した喜びを感じることができた、と話した。
モスルとカラコシュでは、ISによる占領で、キリスト教徒や、ヤジディ教徒を含む数万人の住民が避難を余儀なくされ、これらの都市の古くからのアイデンティティーは破壊された、と教皇は現地で見た暴力の爪痕について語った。
現在、困難のうちにも復興が進められる中、イスラム教徒はキリスト教徒に帰還を呼びかけ、教会やモスクの修復を力を合わせて行っていることを紹介された教皇は、これらの兄弟姉妹たちが再出発の力を得ることができるよう、わたしたちも祈り続けよう、と招かれた。
教皇は、バグダッドとアルビルでとり行われたミサを振り返り、「アブラハムとその子孫たちの希望は、神の御子イエスの神秘の中に実現された。イエスはご自身の死と復活を通し、わたしたちに約束の地への道、新しいいのちへの道を開いた。そこでは涙は乾き、傷はいやされ、兄弟は和解する」と話された。
「イラクでは、破壊と戦争の音がとどろく時にも、同国の象徴であり希望の象徴であるヤシの木は、静かに育ち、実をつけた。兄弟愛も同様に、音を立てることなく、しかし豊かに実り、わたしたちを成長させる」と述べた教皇は、平和そのものである神に、兄弟愛に満ちた未来を、イラクに、中東に、そして全世界のために祈られた。
イスラム世界の中でさえ、宗派の違いなどによる対立が現実に存在している。そのようなイスラム社会と宗教の違いを超えて理解を深め合うことは簡単ではないことであろう。特にこの地域では東ローマ帝国の勢力とイスラムが戦いを繰り返した地域である。でも、交流を促進することによる変化は必ず訪れることであろうと信じている。
アルメニアとアゼルバイジャンの紛争(その後)
ナゴルノカラバフ地域を巡るこの旅の紛争もどうやら停戦に到ったようである。10日、アルメニアのパシニャン首相、アゼルバイジャンのアリエフ大統領、それに仲介したロシアのプーチン大統領の三人が共同声明に署名して、停戦に合意した。決着の結果はアルメニアがこれまで実効支配していたナゴルノカラバフの一部を失った。但し、旧自治州の帰属については触れられておらず根本的な解決には至っていない。それは先送りされたということである。
過去にも1994年に欧州安保協力機構とロシアの仲介で両者が停戦合意したこともあったが、アルメニアが旧自治州の実効支配を認める内容であったため、アゼルバイジャン側には不満であった。今回の停戦合意により、両者の衝突は停止することになるが、根本的な解決を先送りしている以上、この先に再び紛争が再燃しないという保証はない。米大統領選、その後の開票にまつわる混乱に乗じて、この地域に対するロシアの影響力が強まったという印象である。
アルメニアとアゼルバイジャンの紛争
アルメニアとアゼルバイジャンとの間で衝突が起きている。この地域は中東ではなく、コーカサス地方になるのであろうが、中東と密接に関係ある地域なので、取り上げてみることにする。
この両国間の紛争は今に始まったことではない。歴史的な流れからみると、ロシア帝国とオスマン帝国が崩壊し、その後、アルメニアとアゼルバイジャンが独立した時から、ナゴルノカラバフの帰属問題が発生したのである。アゼルバイジャン国内の領域であるナゴルノカラバフ地域に住む大半の人々がアルメニア人であった。第一次世界大戦後両国はソビエト社会主義共和国連邦下に置かれることとなった。そして、ナゴルノカラバフはソビエト社会主義共和国憲法において、アゼルバイジャン内の自治州としての地位を与えられたが、事態が収束することはなかった。Global News View (大阪大学を拠点とするメディア研究機関のHP参照)。
このように、アゼルバイジャン領内において、多くのアルメニア人が居住するナゴルノカラバフ地域がアゼルバイジャンからの離脱志向があり、そこにアルメニアが肩入れしたというのが紛争の始まりということである。私が若いころには「アゼルバイジャンの中にアルメニアの飛び地がある」という風に理解していたものだった。
この図でわかるように、アゼルバイジャンは産油国であるので、ジョージアからトルコ経由で各国に輸出している。両国はパイプラインの通過料を得ることができる。アルメニアはロシアやイランと発電・電力供給で親密な関係にある。イランは電力の代わりに天然ガスをパイプラインで供給している。イラン北部にはアゼルバイジャン系住民がいるので、イランは常に彼らの独立運動に目を光らせている。宗教的にイランとアゼルバイジャンはシーア派とスンニ派の違いはあるがイスラム同士ではある。アルメニア人はキリスト教徒(アルメニア正教)であるが、イランとの関係は良好である。一方、武器調達においては、アゼルバイジャンはイスラエルから大量の武器を購入している。最近続いているイスラエルとアラブのアラブ首長国連邦やバーレーンとの国交樹立などが、イラン封じ込め戦略と言われるように、イランにとってはイスラエルとアゼルバイジャンの関係強化も気になるところである。また、産油国のアゼルバイジャンには米国の石油関係会社も進出しているから、米国もこの地域での衝突には重大な関心を寄せざるをえない。
日本からは遠いコーカサスのあまり馴染みのない国同士の紛争であり、関心も薄く注目の度合いも薄いかもしれない。しかしながら、上述したように、両国間だけではなく、両国に繋がりのある周辺国(トルコ、イラン、イスラエル、シリヤ、レバノン等)ならびに米国やロシアも干渉することになると中東を巻き込んだ国際紛争になるわけである。そうなると石油を中東に依存する我が国としても傍観はできないであろう。
(地図は中日新聞10月1日、10月9日より拝借)
アラビア文字(ペルシャ文字)の入力
こんにちは。久しぶりの投稿になります。はや10月も末になり、めっきり涼しくなりました。今回はアラビア文字(ペルシャ文字)に対する質問がありましたので、お答えいたします。
私はこのブログの入力はパソコンで行っています。ですからキーボードから入力するのです。英文字や日本語は普通に入力できますね。ペルシャ語を入力する場合にもペルシャ語フォントを追加すればいいだけです。windowsでは世界中の言語に対応してフォントが用意されています。例えば次のように。
私はペルシャ語フォントを入れているわけです。ペルシャ語はアラビア語にはない文字がいくつかあるので、ペルシャ語を入れておけばアラビア語にも基本的に対応はできるのです。付加する記号文字などでできないものもありますが。
フォントを入れたからと言ってすぐに入力はできません。一つ一つの文字の配列が分からないと打てません。キーボードは英文字なのですから。それで必要なのが、つぎのキーボード表です。
これを見ながら入力すればOKです。でも今では配列が頭の中に入っているので、殆ど見なくて入力できるようになりました。ただシフトキーの方は見ないわけにはいきません。
パソコンからの入力は以上の通りです。皆さんも、他の言語での入力が必要な場合には是非ともトライして見て下さい。今のパソコンは世界中の言語に対応していることがわかるでしょう。
でも、今、私たちの生活はパソコンよりもスマホ中心になってきています。スマホにおける多言語対応はどうなっているのでしょうか。Gboard (Google キーボード)が助けてくれます。Gboardのアプリを入れると世界中の言語に対応できるのです。ペルシャ語の場合は次のようなキーボードが現れます。
ラインやインスタグラムの場合はスマホでのやり取りが中心になります。だからこのキーボードが役にたちます。先ほどのパソコンのキーボードとは違って、ペルシャ文字そのものが表示されるわけですから、簡単に入力できてしまいます。Gboardを知るまではこんなことができるとは思いもしませんでした。ITの世界ではとっくに多言語対応ができているということです。
もっと付け加えるなら、ペルシャ語にしても音声で入れれば、それが文字化されるアプリもあるのです。ペルシャ語であるくらいですから、世界中の言語の対応があるでしょう。便利な世の中です。それを使いこなす以前に、どんな便利なものがあるということを知らないことが多いです。
それでは今日もいい日でありますように。
バーレーンもイスラエルと国交樹立
アラブ首長国連邦がイスラエルと国交を正常化させたという記事を書いたのが8月15日でしたから、およそ1ヵ月後の昨日、バーレーンとイスラエルが国交を正常化させると合意しました。予想通りの展開になっていることですので、驚きはしません。
トランプ大統領はこのような合意を仲介することによって、中東和平の進展を推し進める功労者として自己アピールしているわけです。それが大統領再選へむけて大いに後押しをしてくれると信じて、精力的に運動してきたわけです。それと同時にやはりイランの孤立化、イラン包囲網を築こうとしているわけです。
バーレーンという国は人口が150万人位の小さな国です。バーレーンの影響力はそう大きくはありませんが、アラブ首長国に続いてのことですから、今後もサウジアラビアなどが続くと予想されます。すでにイスラエル機はサウジ上空を飛ぶことが暗黙の了解になっているとも報じられています。時間の問題でしょう。
問題は一連の流れが中東和平にどう影響するかということです。日本ではほとんど真剣な議論が公になっていません。パレスチナ問題の解決・和平につながるならば文句はありませんが、逆に解決から遠ざかるようなことになる可能性も大きいのです。和平への仲介をするならばパレスチナ自治政府を抜きにしてはスムーズに運ぶ筈がないことは自明です。トランプの考えていることは、中東和平ではなくて、自分の大統領選なのです。