断食明けとイエメン

前回の投稿は断食月の最中であったので、断食のことを書きました。そして、断食明けは盛大なお祝いの日だと書きました。今回のラマダン明けは21日ということでした。そこでタイトルに挙げたイエメンでは85人の死亡者がでるような惨事が起こったことが報道されました。イランとサウジアラビアが国交正常化に向けて歩き出した一環の流れの中でイエメンの内戦も終結に向けて動きが進んでいる中での今回の事件というか事故だったので、私はとっさに和平への動きに反発する騒動かと思ったのでした。が、そうではなかったようです。事故のあらすじは以下のようでした。

ラマダン明けのお祝いのために富裕層が一人当たり5千イエメン・リアル(約1070円)を配っていたとのこと。そこに大勢の人が殺到して建物の入り口周辺で転倒して事故になったそうである。世界で最も貧しい国の一つに挙げられるイエメンでは5千リアルというのはかなりの金額なのであろう。少なくとも死者が85人、320人以上が負傷したとのことである。ラマダン明けのお祝いがこのようなことになったのは残念である。報道ではこの配布イベントを主催した実業家3名をフーシー派が逮捕したとのことである。ここが現在のイエメンの状況なのである。本来ならイエメンの正式な政府の支配の下での警察が逮捕するのであろうが、そうではなくてフーシーが事実上の支配者であることを示している。今後、イランとサウジの和解により、イエメンでのこの状況が変わろうとしている筈であるが、そうなるであろうか・・・・注目すべきことである。

 

中東の食べ物?: デーツ(ナツメヤシ)

スーパーマーケットでデーツが売られているのを見つけました。懐かしくて、とっさにショッピング・バスケットに入れました。甘くて美味しいのです。最近では健康に良いということで人気があるようですね。日本ではナツメヤシとも呼ばれています。ウィキペディアではどう説明されているのかと、覗いて見ると次のように書かれていました。内容は全てが信頼できるものとは限りませんが、あくまでも参考としてのことです。

ナツメヤシは非常に古くから栽培されているため、本来の分布がどうであったかは定かではない。北アフリカか西南アジアのペルシャ湾沿岸が原産と考えられている。

耐寒性は低いものの、乾燥には比較的強い。雌雄異株。樹高は15 mから25 mで、単独で生長することもあるが、場合によっては同じ根から数本の幹が生え群生する。葉は羽状で、長い葉柄は3 mに達する。葉柄には棘が存在し、長さ30 cm、幅2 cmほどの小葉が150枚ほど付く。実生5年目くらいから実をつけ始める。樹の寿命は約100年程が普通であるものの、場合によっては樹齢200年に達することもある。

メソポタミアや古代エジプトでは紀元前6千年紀にはすでにナツメヤシの栽培が行われていたと考えられており、またアラビア東部では紀元前4千年紀に栽培されていたことを示す考古学的証拠も存在する。例えば、ウルの遺跡(紀元前4500年代−紀元前400年代)からは、ナツメヤシの種が出土している。シュメールでは農民の木とも呼ばれ、ハンムラビ法典にもナツメヤシの果樹園に関する条文がある。アッシリアの王宮建築の石材に刻まれたレリーフに、ナツメヤシの人工授粉と考えられる場面が刻まれていることはよく知られている。

ナツメヤシはギルガメシュ叙事詩やクルアーンにも頻繁に登場し、聖書の「生命の樹」のモデルはナツメヤシであると言われる。クルアーン第19章「マルヤム」には、 マルヤム(聖母マリア)がナツメヤシの木の下でイーサー(イエス)を産み落としたという記述がある。アラブ人の伝承では大天使ジブリール(ガブリエル)が楽園でアダムに「汝と同じ物質より創造されたこの木の実を食べよ」と教えたとされる。またムスリムの間では、ナツメヤシの実は預言者ムハンマドが好んだ食べ物の1つであると広く信じられている。

ということで、古くから中東地域で栽培されていたことが分かります。また、今でもデーツは中東諸国の農産物として大量に栽培されているのです。2008年に農林水産省から「GCC諸国の農業・貿易政策」という調査報告書を作成するように委託されたことがあり、一生懸命調べた想い出があります。その際にデーツが湾岸諸国の農産物の中でデーツが大きなウエィトを占めている農産であることを実感したのでした。

先ほど、デーツは健康に良いということでしたが、栄養価はどの程度なのか、今度は「上野アメ横。小島屋」のホームページの助けを借りましょう。次のように書かれています。

・ 便通を整える『食物繊維』
食物繊維には、腸内環境を整え、消化吸収を良くしたり便通を改善させる効果があります。また同時に、悪玉菌や有害物質を減らして腸内環境を整える効果もあり、生活習慣病をや感染症などの病気の予防や健康維持にも重要な成分です。
デーツには、ごぼうと比較すると1.3倍もの食物繊維が含まれており、中でも不溶性食物繊維が豊富です。不溶性食物繊維は、腸の中で水を含んで腸を刺激し、便通を整える働きがあります。また有害物質を減らすため、大腸がん予防に効果があるとして期待されています。

・ 貧血予防だけじゃない『銅』
デーツは様々なミネラルも豊富に含んでいます。ミネラルとは、体内で酵素などとして働き多様な作用に関わる重要な栄養成分で、銅はその1種です。銅は、ヘモグロビン合成や免疫細胞のエネルギー代謝に関わり、また活性酸素を除去する働きを助けます。デーツは、ドライフルーツの中でもトップレベルの銅含有量を誇っており、貧血予防や免疫力アップに嬉しい果物なのです。

・ 味覚を保つ『亜鉛』
亜鉛とは、タンパク質・DNAの合成や免疫機能の維持、味覚の維持など多くの役割を持っているミネラルです。舌にある味細胞は日々作り変えられていますが、亜鉛はこのような細胞の生まれ変わりをサポートするのに欠かせないミネラルなのです。

さらに次のような項目を挙げて、デーツの良さを説明しています。
以下は見出しだけにしておきます。興味ある方は「小島屋」のホームページを直接ご覧ください。

・ 縁の下の力持ち『マグネシウム』
・ 抗酸化力を持つ『βカロテン』
・ 二日酔いに効く!『ナイアシン』
・ 多機能ビタミン『パントテン酸』
・ デーツの健康&美容効果4つ
・ ①貧血の予防に
・ ②酸化を防いでアンチエイジング
・ ③ストレス対策にも
・ ④ダイエット効果も注目!カロリーは控えめ?!
・ デーツの健康・美容効果を高める食べ方

本当に体に良い食品であることが分かりました。栄養機能食品などの通販カタログにもデーツは出ています。しかし、結構いい値段しているように思います。この度買ったものは300円で小さな袋ですので、買いやすい値段でした。チュニジア産で種を抜いていたので食べやすく美味しかったです。以前、東京ジャーミー(モスク)に行ったときに、売店で一箱一杯入ったものが500円で買った覚えがあります。イスラムでは断食の日の日没後や断食明けの際に一番最初に口にするのがデーツです。中東・イスラム社会では必需品なのであります。皆様も是非とも食して見てください。日本の干し柿にちょっと近い感じがしますが、どうでしょうか?