コーランについて(6):第4章・・・女性

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久しぶりにコーラン第4章について書いてみる。この章のタイトルは「女性」である。イスラム社会では女性が男性とは対等に扱われていないと批判的な発言をする人たちが少なくないことを知っている。それらの批判的な声に同感したり、反論する気持ちを私は全然持っていない。なぜなら、私はイスラム教徒としてイスラム社会で生活した者ではないし、イスラム社会や人々と触れ合った経験はあるというものの、ごくわずかな期間でしかない。これまで、このブログの中ではイランの女性は有能でテキパキと仕事をこなしていることを紹介したことがある。また、シーラーズの底抜けに明るいオバチャンたちとのやり取りを動画で紹介したこともある。現地で接した彼女達との関係は日本でのそれとあまり変わりはしなかった。でも、私たち異国の異教徒と接点を持った女性たちというのはごく一部の人なのかもしれない。一般的に家庭外で他の男性とは一線を画すのが普通なのかも知れない。そんなことはともかくとして、コーランでは女性について、どのようなことが書かれているのかというのが今回の内容である。

コーランには「孤児たちを大切にしてやれ」ということがあちらこちらに書かれている。この章の初めの方にも(4-2)「孤児(みなしご)にはその財産を渡してやれよ。よいものを(自分でせしめて)その代わりに悪いものをやったりしてはいけない。彼らの財産を自分の財産と一緒にして使ってはいけない。そのようなことをすれば大罪を犯すことになる。」(4-3) 「もし汝ら(自分だけでは)孤児に公正にしてやれそうもないと思ったら、誰か気に入った女をめとるがよい、二人なり、三人なり、四人なり。だがもし(妻が多くては)公平にできないようならば一人だけにしておくか、さもなくばお前たちの右手が所有しているもの(女奴隷を指す)だけで我慢しておけ。その方が片手落ちになる心配が少なくてすむ。」
女を複数娶ってもいいとあるが、それは孤児たちを公正に扱うことが自分だけでは難しいならばという条件がついている。そして複数の女を娶っても、その扱いは公平でなければならぬのであって、それができないなら一人にせよと言っているのである。むやみやたらに妻を4人持ってもいいということではないのである。イスラム=一夫多妻OKというのは間違いである。

(4-4) 「妻たちには贈与財(結婚契約の成立時に夫から妻に贈る財産)をこころよく払ってやれよ。だが、女の方で汝らに特に好意を示して、その一部を返してくれた場合には、遠慮なく喜んで頂戴するがよい。」
結婚前に金銭の授受があることがわかる。そして、女が返してくれるなら喜んで受け取ってもいいとある。コーランの記述はいつもながら、非常に現実的で人間臭い内容に思わず微笑んでしまうのである。

(4-7) 「両親、および親戚の遺産の一部は男子に。女にもまた両親、および親戚の遺産の一部を。少額のこともあろう、多額のこともあろう、がともかく所定の割当分を。(4-8) もしその分配の席に縁つづきの者や孤児や貧民が居合わせたなら、そういう人たちにも何分かの志を出してやり、やさしい言葉の一つもかけてやること。」(4-12) 「汝らの子供に関してアッラーはこうお命じになっておられる。男の子には女の子の二人分を。もし女が二人以上ある場合は、(彼女らは)遺産の三分の二を貰う。女の子が一人きりの場合は、彼女のもらい分は全体の半分。それから両親の方は(被相続人に)男の子がある場合は、どちらも遺産の六分の一ずつ。子供がいなくて、両親が相続人である場合には、母親に三分の一。彼に(子供はいないが)兄弟があれば、母親は、彼が(他の誰かのために)遺言しておいた分とそれから負債とを引き去った残額の六分の一を貰う。・・・・・・(4-13) また妻の遺したものについては、彼女らに子供がない場合は汝ら(夫)はその半分。もし子供があれば、彼女たちが特に遺言しておいた分と負債とを差し引いた残りの四分の一を汝らが取る。(4-14) また汝ら(夫の側)の遺産については、もし子供がない場合は、妻たちがその四分の一を貰う。だが、もし子供があれば、遺産から汝らが特に遺言しておいた分と負債を差し引いた残りの八分の一を彼女らが貰う。(4-15) 男でも女でもこれを正当に相続する者がなくて(つまり子供も両親もなくて)ただ兄か弟または姉か妹が一人いるような場合には、そのいずれも六分の一を貰う。しかしそれ以上の人数であれば、本人が特に遺言しておいた分と負債とを差し引いた残額の三分の一を皆で均等に分配する。(4-16) 決して害を被らせるようなことがあってはならぬぞ。これがアッラーのおきめになった分配法。まことにアッラーは全知にして心ゆたかにおわします。」
女性に関する記述が多いから女性の章と名付けられたというが、この章全体をざっと読んでみても、私にはそれほど多いとは思えなかった。上述した部分は相続に関する記述で、女性に関係ある部分を抜き出してみた。男は女二人分を取るだとか、妻の取り分はどうだとか、女性に対しても何らかの配分があるのである。多い少ないかの問題はあるかもしれないが一応女性の取り分があることが明示されていることは評価できるのではないだろうか。それ以上に相続について、男女の問題とは別に事細かく分配の方法が示されていることに驚いた。ここだけでは細かい点の詳細は良く分からない点があるが、八分の一だとか六分の一という数値の根拠などについても知ってみたい気がするのである。次に紹介する部分は女性蔑視と言われる部分かもしれないので紹介しておこう。

(4-34) 「アッラーはもともと男と(女)とな間には優劣をおつけになったのでし、また(生活に必要な)お金は男が出すのだから、この点で男の方が女の上に立つべきもの。だから貞淑な女は(男にたいして)ひたすら従順に、またアッラーが大切に守って下さる(夫婦間の)秘めごとを他人に知られぬようそっと守ることが肝要(この部分は色々な解釈の可能性がある)。反抗的になりそうな心配のある女はよく諭し、(剃れでも駄目なら)寝床に追いやって(こらしめ、それでも効かない場合は)打擲(ちょうちゃく)を加えるもよい。だが、それで言うことをきくようなら、それ以上のことをしようとしてはならぬ。アッラーはいと高く、いとも偉大におわします。

現代では完全にアウトでしょう(笑)。パワハラ、セクハラの最たるものでしょう。男女間には優劣があるのだとはっきり断言しているのが凄いとおもうのであるが、現実のイスラム社会でも、もうこんな考えは多くのところでは消えているのではないだろうか?私には良く分からないけれども。結構、かかあ天下である面を見聞きしたのであるが。ともかくコーランの中にこのような記述があるのは事実なのだ。いつものようにこのブログの日本語は岩波文庫の井筒先生の訳を利用させていただいている。この部分を他の訳文でみると「男たちは女たちの上に立つ管理人である」となっている(中田孝訳)。今BSNHKで放映している朝ドラの前に昔の「澪つくし」が再放送されている(沢口靖子主演)が、貞淑な女性が模範的であるような時代の中で進歩的、活発な女性が現れ始める世の中を描いているようだ(昔は見ていなかったので、新鮮な目で見ている)。イスラム世界も時代とともに変化していくことは必至であろう。

この章には女性に関することだけ書かれているのではなく、ユダヤ人のこととか他のことも数多く書かれていることを付記して終わろう。

 

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