サウジアラビアとイランの国交正常化への動き


この画像は2016年にイランとサウジアラビアが国交を断絶した当時のものである。サウジアラビアや周辺の湾岸諸国、つまり王政の国々が1979年のイラン革命の後、自国への革命の伝播を恐れ、何かとイランと対立していたのであった。評論家は中東における覇権争いであるとか、シーア派とスンニー派の対立であると論じてきた。現代ではイエメンの内戦を取り上げて、反政府派のフーシーをイランが、政府をサウジが支援し合い、事実上はイランとサウジの戦いであるとも言われている。いずれにせよ、両国の対立は根深いものがある。

今回、中国の仲介で両国が国交を正常化に戻すことに合意した。既にお互いの大使館を開くことも具体的に進んでいる。昨日はイラン側が大統領に対してサウジから招待状が届いたと発表した。サウジは公には認めていない。外相同士の会談も準備中であると報道されている。両国の接近は世界中で概ね歓迎されている。しかしながら、この和解への道が中国による仲介であることから、「中国の思惑はどこにあるのか?」と、論説するメディアもある。でもそれはどうでもいいことではないだろうか。脱化石燃料と叫ばれるようになったのは最近のことで、過去の長い間、中東は世界のエネルギーの重要な供給者であった(いまもそうではあるが、化石燃料に対する重要性は減少している)。本来なら、中東のエネルギーに依存する比率の高かった日本が中東の安定のために、中東の紛争を解決すべく積極的に動くべきだった。パレスチナ問題がその最も代表的なものであるが、フセインのイラク、シリア問題、イラン・サウジの対立などの解決にもっと関わるべきであった。何もしないできた日本が、また西側の大国も今更中国による仲介に文句を言う資格はないだろう。中東が平和になるなら誰が仲介してもいい。イラン・サウジ関係がが正常化してもそれは中東の一部の問題解決にしかならないのは分かっている。また、それすら実際にどこまで進展するかはまだまだ未知である。

話は飛ぶが、いま習近平がロシアを訪問している。ロシアとウクライナの戦争終結のために提案するとかも言っているみたいである。それに対してまた「中国の思惑は?」と世界中が言う。私は中国がどういう思惑であろうと、この戦争は一日でも早く終わらすべきだと思っている。中国がロシアに武器を提供することを西側が批判するなら、西側もウクライナに武器を供与しないで欲しい。武器製造企業は莫大な利益を挙げているのだ。彼らは戦争は終わらせたくないのである。今日、岸田総理がウクライナを電撃訪問したと昼のニュースで報じられていた。どうせ行くならロシアに行って、「戦争を止めろ」と説得してもらいたい。北朝鮮に拉致された人々を取り戻すためには、北朝鮮に行って、「彼らを返せ」と連れて帰ってもらいたい。

イスラエル軍、ガザ空爆:前回の追記

前回、日本のメディアは報道しないと書いたが、7日の中日新聞朝刊には次の記事がでていたので、紹介しておきます。空爆で炎が上がっている画像は前回のものと同じのようだ。

イスラエル軍、ガザ空爆:2022年8月6日共同通信発

昨日、ガザ地区に関する記事を書きましたが、今現在のガザのニュースが入ってきています。日本のテレビでは何も報道していません。BSのNHKではカタールのアルジャジーラの局がこのことを報じていました。インターネットで共同通信社のサイトから紹介しましょう。2022/8/6 09:45 (JST)の発信です。

【カイロ共同】イスラエル軍は5日、パレスチナ自治区ガザで、過激派「イスラム聖戦」を標的に攻撃を実施したと発表した。ガザ保健当局によると、空爆により5歳の女児を含む10人が死亡、75人が負傷した。イスラム聖戦は司令官が死亡したと明らかにし、反撃すると表明。ガザからイスラエルに多数のロケット弾が発射された。イスラエル軍は対空防衛システム「アイアンドーム」で撃墜するなどし、イスラエル側の人的被害は伝えられていない。大規模な戦闘に発展することが懸念される。イスラエル軍が1日、占領するヨルダン川西岸北部ジェニンでイスラム聖戦幹部を拘束し、緊張が高まっていた。
日本の新聞では記事になっていないが、世界中で緊張が高まっている毎日です。