イスラム再学習 ❷ 天使について

前回の預言者に続いて、今回は天使について採り上げましょう。イスラムにおける天使と言えば、真っ先に「ジブリール(ガブリエル)」を思い起こします。ムハンマドに啓示を伝えたという天使です。イスラムでは神と人間の中間的な存在にサタンやジン、そして天使が存在する。前の二者については別の機会にするとして、では天使にはどのようなものがあるのか?平凡社の新イスラム事典を見ることにしよう。

「精霊」「誠実な霊」ともいわれているムハンマドに啓示を伝え、イスラムを強化したガブリエル、それに匹敵する地位にあるミカエル、終末のラッパを吹くイスラーフィール、またマーリクと呼ばれる地獄の番をする天使、ザバーニーヤと呼ばれる地獄での責め苦をつかさどる天使たち、神の玉座を支え、またその周辺にあって常に神をたたえる天使たち、各人の両側にいてその人の行為を逐一記録する天使、墓場で死者を審問して苦しめるムンカルとナキールの2天使などである。

東京堂出版のイスラーム辞典からも重複しない部分を紹介しておこう。
天使の存在を信ずることは、イスラームの第二の信仰箇条になっている。アッラーは、五つの元素を少しも交えずに光から天使を創った。
「讃えあれアッラー、天地の創造主、天使らを使者に立て給う。その翼は二つ、三つ、また四つ。数を増して創造なさるは御心のまゝ・・・」(クルアーン第35章1節)
天使には、男女の性別はない。彼らはアッラーの命令を行使するために創られており、それを実行するさいにいささかも誤を犯さないとされている。ある天使たちは、アッラーのメッセージを使徒たちに伝達する役割を与えられている。彼らはそれを、いささかの粉飾、改変、省略なしに伝える。・・・・・

神の周辺に居て、神を支えるのが天使ということですね。上の方の画像は随分前のことですが、イランを旅した時にケルマンシャーのターゲボスタンで写したレリーフの写真の一部を拡大したものです。ササン朝時代のレリーフが破壊されずに美しく残っていることで有名なレリーフですが、写真をよく見ると天使が写っていました。
ムハンマドに啓示を伝えたのがジブリール(ガブリエル)と先述しました。キリストの受胎告知をしたのが、このガブリエルです。ガブリエルをアラビア語ではジブリールまたはジャブラーイールというわけです。天使たちもまたキリスト教にでてくるものと同じなのです。