戦争はもう終わりにしましょう!

2022年11月に『アラブのことばと絶景100』の書籍を紹介しました。暇な時にパラパラと絶景の画像を見たり、時にはじっくりと言葉の意味を考えたりしてきました。その中に1970年代のエジプト大統領アンワル・アッ=サーダートの言葉があります。日本ではサダトと表記されている元大統領です。私が時々引用させていただいているインターネットの「世界史の窓」のサイトでは彼のことを詳しく説明していますので詳しいことはそこをご覧いただければいいと思います。
https://www.y-history.net/appendix/wh1703-020.html
ここには、その冒頭の数行を引用しておきます。
1970年代のエジプト大統領。軍人としてナセル政権を継承し、1973年に第4次中東戦争でイスラエル軍を急襲して有利に戦ったが、1977年に突如イスラエルを訪問して和平に転じ、1979年にアメリカの仲介により平和条約を締結した。しかしアラブ強硬派の反発をうけ、1981年に暗殺された。
第4次中東戦争の時の大統領でした。最初は有利だった戦況も最終的に敗れることになった。アラブ側が石油輸出を武器にしたために石油危機(オイルショック)につながった戦争である。以来、原油価格は上昇の一途を辿ってきた。

さて、サダトの言葉である。彼は何と言ったのだろうか。1978年、カイロでのスピーチで語った言葉です。イスラエルとの平和条約を結び、ノーベル賞を受賞しました。しかしながら、イスラエルとの和平合意を良く思わない過激派によって暗殺されました。
「平和は土地よりもはるかに重要です・・・・。
戦争はもう終わりにしましょう。」
明日8月1日は終戦記念日です。ウクライナとロシアの戦争はまだ終わる気配もありません。西側が武器や兵器を支援している間は戦争は終わらないでしょう。そのような支援は本当の支援とは言えないでしょう。どちらかが破滅するまで戦争が続くだけでしょう。日本の政治家が台湾に行って、台湾有事に触れて「戦う意志を表明することが最大の抑止力である。断固戦う意志をもちましょう」とスピーチで檄を飛ばしていました。戦う意志=戦争する意志とは!日本は憲法で戦争を放棄しています。憲法違反のセリフを堂々と発言するという恐ろしいことをしています。

話しを基に戻しましょう。このサダトの言葉の「戦争はもう終わりにしましょう」という言葉が気に入っているのです。世界の多くの人々の思いでしょう。そこで、私はアラビア書道の秋の作品展にこの言葉を書きたいのです。まだ上手に書けるかどうかは分かりません。作品ができたら勿論ここにアップいたします。腕も手術から徐々に回復して使えるようになりつつあります。アラビア書道界の世界の第一人者である本田先生にお願いしてお手本を書いていただきました。今回はそれをここに紹介しておきます。ナスヒ書体とナスタアリーク書体の2書体で3枚書いて下さいました。私は「戦争はもう終わりにしましょう」の部分だけを書こうと思っているのですが、先生はその前の部分も書いて下さいました。ご鑑賞下さい。

 

エジプトのパン騒動:ロシア・ウクライナ戦争の影響

上の画像は MIDDLE EAST MONITOR の少し前の記事の写真です。記事の内容の一部を要約して抜粋すると以下の通りです。

パンデミックと世界のGDPの3.60%の縮小の影響で国際経済がうめき声を上げている間、エジプトは2020年と2021年の両方で3%を超える世界記録の成長率を祝いました。
コロナウイルスの攻撃に続くウクライナに対するロシアの戦争は、この経済成長を打ち砕くようになりました。それはエジプトの観光業に大きな打撃を与えました。また、小麦と石油の価格の上昇のために耐え難い財政的圧力がかかるようになりました。

エジプトは原油と石油派生物の純輸入国であり、年間1億2000万バレル以上の原油が輸入されています。過去数年間、政府は1バレルあたり約61ドルの石油価格予算を起草しました。世界のバレル価格が120ドルを超え、これが150ドルを超える可能性があると予測されているため、エジプト政府は予算の割り当てを2倍にする必要があります。

もう1つの打撃は、小麦と食料の価格です。エジプトは世界最大の小麦輸入国であり、2021年に1160万トンが国内に持ち込まれました。エジプトの供給大臣、アリ・モセリ氏は、政府は小麦の価格を1トンあたり255ドルと想定しましたが、現在は350ドルを支払っています。残念ながら、エジプトの輸入の86%は、ロシアとウクライナの2つの戦争国からのものであるため、問題はここで止まりません。

政府がすでに継続的な物価上昇、賃金の凍結、補助金の撤回で人々に負担をかけていたときに打撃が来ました。政府は、電気、水、燃料の補助金をほぼ廃止し、食糧補助金の価値と受益者数を削減しました。また、重量を減らした後、補助金付きのふすま(バラディ)パンの価格が上がることになりました。

4月7日のこのブログにウクライナとロシアの戦争が中東の小麦の供給に大きな打撃を与えていることを書きましたが、いまエジプトではその影響がパンの価格に現れてきたわけです。各地でデモが起こり、政府に抗議する運動が広がっているということです。エジプトでは過去何度もパン騒動と呼ばれる動きで政府が揺さぶられた歴史があります。今回のウクライナの戦争の影響が世界各地に影響を及ぼし、それが拡大しつつあることが目に見えるようになってきています。早く、終結してほしいものです。