閑話休題:چهارشنبه‌ سوری Chahar Shanbeh Suri のこと

この数日は非常に暖かい日が続きます。名古屋は昨日18度で、今日はまた14度です。春が近くなりました。前に述べたことがあると思いますが、イランでは春分の日がノウルーズ、つまり新年になります。でも、今日はノウルーズを紹介するのではなく、その前に行われるチャハルシャンベ・スーリー (چهارشنبه‌ سوری ) について紹介しましょう。イラン暦とはイスラム暦の紀元と同じですが、春分の日を元日とする太陽暦であります。ですから、いまはもうイラン暦の12月です。12月は Isfandという名前がついています。日本なら12月は師走というのと同じことです。そして、ノウルーズ前の今年最後の水曜日の夜のお祝い行事がチャハルシャンベ・スーリーなのです。チャハルシャンベが水曜日という意味です。火のお祭りです。悪を象徴する暗黒に勝利する善を象徴する光を祝うお祭りです。この儀式の背後にある象徴性はすべて2500年以上以前のゾロアスター教に由来しています。だから、これはイスラムの伝統でもなく、アラブの部族や人々によって祝されるものではありません。ゾロアスター教に起源があるのですが、現在では宗教色の濃い行事でも、政治的な行事でもありません。これは暗黒の終わりを祝い、そして、希望に満ちた新たな光の始まりを祝うお祭りなのです。つまり、暗黒=寒い冬が終わり、光=暖かい春=新春・新年の到来を待ち望むお祝いの行事なのです。

人々は通りや路地で焚火を作ります。そして、歌いながら、その火の上を飛び越えます。歌の文句は 「あなたの赤(元気・健康)を私に、私の黄色(痛み・病)をあなたに!」というような意味で、無病息災を神に祈るわけです。

子供たちはお菓子を求めてスプーンや鍋を叩いて各戸を廻る qashogh-zani (スプーン叩き)ことなどもします。これはハローウィンと関係があるかもしれません。また、ku-ze shekastanといって、この一年の災いを打ち壊すというように、陶器を叩きつけて壊すとうようなことも行うようでした。

焚火の上を飛び越えるという行事から、私は日本でも同じような行事があることを思い浮かべるのです。全国あちこちのお寺などで火渡りの行事がありますよね。ゾロアスター教は2500年ほど前には存在していたし、紀元前10世紀ごろからとかも言われています。インドや中央アジア、中国などから日本にも伝わっている可能性もありますね。また、チャハルシャンベというのは水曜日のことなのですが、実際に行われるのは火曜日の夜なので、最初は不思議に思ったものでした。ここでも一つ勉強することになるのです。一日は日没から始まり、次の日の日没前に終わるのです。ですから、水曜日というのは火曜日の夜から、水曜日の夕方までなのです。

我が日本にも穏やかな平和な春がやってくることを祈って終わります。

画像の出所はイランのウェブサイト(tehran times, real Iran)より。