ハーフェズ(その2)

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前回に引き続きハーフェズ(2)とした。上の画像は手元にあるDVDの一頁である。頁の右側に一つの詩が、左側には絵が示される。これは3頁であるが、前回の最後に私が好きな一つだと紹介した「シーラーズの乙女が・・・・サマルカンド・・」の一篇である。絵の下の右側の▶を押すと、音楽にのせて朗読が始まるのである。好きな個所を聞けるように、絵の上部には検索枠がある。こうして、ハーフェズを愛する人は彼の詩を堪能することができるのだ。

ハーフェズはシーラーズを愛する詩や美女に恋する詩のほかに酒についても多く詠っている。その一つを紹介しよう。

酌人(サーキー)よ、起きて私に酒杯を与えよ
日々の悲しみに土をかけよ
酒杯をわが掌(て)に置け、体から
この青色の幣衣を脱ぎすてるように
賢者には(名声を求めぬことが)不評であろうとも
われらは名誉や名声を欲しない
酒をくれ、高慢の風をいつまで吹かすのか
悪い結果に終わる欲望には土をかけよ
わが嘆きの胸のため息の煙は
未熟な無常者たちを焼きつくした
恋に狂うわが心の秘密を守る友を
私は貴賤のうちにだれも見出せない
恋人といればわが心は楽しいが
彼女は一挙にわが心から安らぎを奪った
白銀(しろがね)の体をしたかの糸杉(恋人)を見た者はだれも
園の糸杉には決して見向きもしない
ハーフェズよ、日夜苦難に耐えよ
ついにはいつか望みが達せられよう
*青色の幣衣=神秘主義者の幣衣


この画像は私が昔シーラーズで写したものである。ハーフェズ廟である。周りが花いっぱいの公園になっているところで、始終人が訪れる場所である。インターネットで「ハーフェズ廟」と検索すれば美しい写真を沢山みることができる。特に夜の風景が美しいと思う。この墓石に刻まれているのが次の詩である。

私は天国の鳥、この世の罠から抜け出そう
そなたへの愛に誓って、私を自分の奴隷と呼んでくれるなら
私は時間と空間の支配から抜け出そう
神よ、私が埃のように消え去る前に
お導きの雲から慈雨を降らせ給え
わが墓の傍に酒を持ち楽師を連れて坐れ
そなたの芳香(かおり)で私は墓から踊りながら起き上がろう
麗しい歩みの恋人よ、立って姿を見せよ
私は踊りながら生命とこの世に別れを告げよう
老いたりとも一夜私をしっかり抱いてくれ
翌朝私は若返ってそなたの傍から起き上がろう
死ぬ日、そなたに会う一瞬(いっとき)の猶予をくれ
ハーフェズのように、私は生命とこの世を捧げよう

ハーフェズの作品はガザルという抒情詩が多いのだが、ちょっとペルシャの詩の形について説明しておこう。オマル・ハイヤームのルバイヤートは有名であるが、このルバイヤートというのは四行詩という意味である。1行と2行が対になっており、これで1バイトという。同様に3行と4行が対で1つのバイトを成している。2つのバイトの形、4つの短い行で4行詩なのであるが、バイトという概念からは2バイトの形式と言える。ハーフェズの詩で有名なガザルはこのバイトが5~15くらいからなるもので、行数でいうと10から30ということになる。かといって、ハーフェズが4行詩を書かないわけではない。次の画像は昔私がイスファハンの書店を覗いた時に買い求めたものである。サイズはA3ほど。イランの人たちはこのようなポスター的なものも部屋に飾っているのである。私にとって、これはアラビア書道(ペルシャ書道)のお手本なのである。

 

 

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