前回に引き続き、コーランについて述べよう。今回はコーランの内容の一部を紹介することにする。と言っても前回述べたように膨大なコーランの中身を逐一紹介するのは無理である。そこで、多くの人が「イスラムでは豚肉は食べない」「お酒は飲んではダメ」などということを知っていると思うが、そのようなものをいくつか取りあげてコーランではどう記されているのか見ることにしよう。日本語訳は前回紹介した日亜対訳クルアーンからの引用である。
1.豚肉を食べないことについて:第2章(牝牛)173節に「おまえたちに死肉、豚肉、そしてアッラー以外の名を唱えられ(屠殺され)たものだけを禁じ給うた。・・・・」。第5章(食卓)3節には「おまえたちには死肉、血、豚肉、アッラー以外のものに声を上げ捧げられたもの、窒息死したもの、打ち殺されたもの、墜死したもの、角で突き殺されたもの、肉食獣が食べたもの・・・・・禁じられた。」ともある。まだ他のところにも出てくるのであるが、とにかく豚は上記にようにコーランの中で特定して禁じられているのである。ついでに付け加えておくことがある。ここの文章のなかの「アッラー以外の名を唱えられ(屠殺され)たもの」「アッラー以外のものに声を上げ捧げられたもの」にお気づきであろうか。このことは非常に重要な意味をもつ。つまり、豚以外の動物の肉、例えば日本に来ているムスリムに対して、美味しい牛肉でおもてなしをしようとしても、それはダメなのである。中東では肉と言えば羊が一般的である。羊を屠るときには必ずアッラーの名を唱えなければならない。日本流に屠殺されたものは原則的には食べられないことになる。それを回避したのがハラール化されたハラール食品である。イスラム流に加工されたものであれば問題ない。それらにはハラール認証のマークがついている。
2.お酒を飲まないことについて:第5章90節「悪魔は酒と賭け矢によっておまえたちをアッラーの唱念と礼拝から逸らそうとしているにほかならない」。第2章219節「彼らは酒と賭け矢についておまえに問う。言え、その二つには大きな罪と人々への益があるが、両者の罪は両者の益よりも大きい」 酒は益もあるが害の方が大きいということを言っている。他の箇所には「ナツメヤシとブドウの果実からも。おまえたちはそれから酔わせる物と良い糧を得る。まことに、その中には思考する民への徴がある」などの語句があり、初期のころのイスラムでは結婚式での酒宴などがあったようだ。酒を飲むことが悪いのではなく、酔って我を忘れた行為がいけないとされ禁酒につながっていったように思われる。
まだ、2つの項目しか書けていないが、今日はこれまでに。