イスラム世界の歴史を続けてきましたが、今回はちょっと休憩して、ムスリム(イスラム教徒)の人口を取りあげましょう。
イスラム教徒が多い国のいくつかを挙げるとすると、インドネシアが約2億人、パキスタンとインドが1.8億人程度、バングラデシュも1.5億人位でしょうか。大雑把な値ですので、その程度と把握してください。この4カ国で約7億人になります。
次に中東地域をみるとエジプト、ナイジェリア、イラン、トルコあたりが7千万~8千万人、イラク、サウジアラビア、シリア・・・モロッコ、アルジェリア・・・・など数千万人程度と思われます。中東はイスラムが誕生した地域なので、ムスリムが多いことは確かなのですが、実際に人口総数として多いのは最初に述べた国々、つまりアジアなのです。この4カ国のほかに、マレーシアや中央アジアに行けばウズベキスタンなどもムスリムが多い国ですね。それにくらべると中東の国々は人口自体が少ないところが多いわけです。しかしながら、国の総人口のほぼ全員がムスリムであったりするわけです。右を向いても左を向いてもムスリムという状態です。逆にマレーシアではマレー系はイスラム、インド系はヒンズー、中国系はまた別という風に、ムスリムばかりではありません。インドネシアは人口2億人のほぼ皆がムスリムであります。一概にこうだと決めつけることはできませんね。
前振りはそのくらいにして、冒頭の表を見てください。これはアメリカのピュー研究所(Pew Research Center) が発表したものですが、2010年のムスリム人口をほぼ16億人としています。キリスト教徒は約22億人です。世界全体の比率はイスラム23%、キリスト31%です。それが2050年にはどうなるかという予測がなされているわけです。イスラムは27.6億人となり、キリスト教は29.2億人となり、その差は縮まります。比率でみると、イスラムが30%、キリストが31%です。この間に増える人口数はイスラムがなんと11.6億人でキリストは7.5億人と予測されているのです。そして、もっと先のほうにグラフを伸ばしていくと、2070年には両者の人口が同じになり、その後はムスリム人口がキリスト教徒を追い越していくことになるのです。
世界中で3人に1人がムスリムという時代になっていくのです。日本でも外国人労働者の受け入れを大幅に緩和する法律ができました。ムスリムも増えるでしょう。私たちはもはやイスラムを無縁な宗教、ムスリムを無縁な人々と無視することはできないのです。少しでもイスラムのことを理解しようとする姿勢は不可欠な時代なのです。